卒業式

卒業式全景

2014.02.11

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学校長式辞

2014.02.11

卒業式式辞

 昔風の暦を見ますと、2月4日立春の翌日は、春の東風が氷を解かし始める日、9日は鶯の初音が聞こえてくる頃と書いてありました。そこには、日本人の季節の移り変わりに対する繊細な感覚と春を待ちわびる強い思いが感じられます。こうして自然がゆるぎなく陽春に向けて歩みを続けている今日の良き日に、第49期生の卒業式を執り行うことになりました。野添育友会長様を始めとするご来賓の方々、そして誰よりも今日の日を待ち望んでおられた保護者の皆様のご出席のもと、三木学園白陵高等学校の卒業証書授与式が挙行できますこと、心よりうれしく思っております。
 ただ今卒業証書を授与しました180名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとう。心からお祝いを申し上げます。もっとも、皆さんはまだ大学入試のただ中にありますから、今の自分をめでたいと思ったり、これまでの3年間、6年間を落ちついて振り返ったりする気持ちにはなれないでしょう。そして、白陵での生活を本当に噛みしめられるのは一か月先か半年後か、あるいは大学を出る時か、それは人によって違って当然です。それでも今日は、皆さんにとって、自分の過去をまとまった形で振り返る大事な中締めの時になるのです。
 また、ご列席をいただいております保護者の皆様、改めまして、ご子弟が本日の卒業を迎えられましたことに心からお喜びを申し上げます。白陵生の保護者として、日々並々ならぬご苦労をなさっていただきました。それだけに、今日の喜びは一入のものがあるかと拝察いたします。本当におめでとうございます。
 さて卒業生の皆さん、私は、皆さんの高校時代を東日本大震災とともに歩んできた3年間と意識しておりました。ところが、学年の先生方はもっともっと幅広く、皆さんとメモリアルイヤーとの関連を意識しておられました。すなわち、49期生は阪神淡路大震災の年に生まれ、北京オリンピックの年に中学1年に入学、東日本大震災の時に高1になり、ロンドンオリンピックの時にロンドン修学旅行、最後の高3は東京オリンピックが決定した年になりました。そして言うまでもなく、高校2年生の時は、本校創立50周年の祝典を白陵の中核として見事に盛り上げてくれました。
 こういう事実を知って私が思ったことは、皆さんは、輝かしく光を放つ出来事と同時に、暗く、どうしようもない人の運命の両面に目を注ぐように求められてきたということです。それぞれの人間の人生も一つの色ではありません。常に、明と暗、強と弱、新と旧、変化と保守、さまざまに相反するものに彩られています。学年の先生方が皆さんの気質を評した、「走らせるまでは時間がかかるが、走りだすととまらない」という言葉も、そういう一面を象徴するのかも知れません。そう考えると、人生で大事なことは、素早く瞬間的に反応することだけではなく、じっくり間を置いて、視点を変えながら一つことを見続けることといえます。実は、人間というのは、自分の見たいもの、知りたいもの、聞きたいものしか捉えないという面があるのです。同じ話を聞いたはずなのにそれが抜け落ちてしまう人がいるのは、そういうことです。ある本を読んで、それは素晴らしい本だと思ってきたのに、その中のあることについてはどうして今まで何とも思わなかったのか、と不思議に思ったことはありませんか。その時によって、ものの見え方・現れ方が違い、見えないのです。
 そう考えてくると、常に新しいものを求めなければダメだ、変化こそ最も尊ばれるべきものだという考え方がいかに皮相的であるかが分かります。おそらく今の日本やヨーロッパは、ひたすら一本調子の変化と成長を求めるような状況ではないのだろうと思います。ドイツのフォルクスワーゲン社は自社の車の広告に、エンジン部分と車体の外装部分の写真を並べ、前者に「This we change.」、後者に「This we don't.」と書いて、変化ばかり求めるアメリカを皮肉ったそうです。フランスのある経済哲学者は、「今の消費社会は成長経済によって支えられているが、その成長は人間のニーズを満たすための成長ではなく、成長を止めないための成長だ」と言っています。50周年の式典を終えた本校も、同じような発想が必要なのかも知れません。すなわち、成長よりも成熟を、です。今は、変化と成長の哲学だけでは無理になっています。もちろん、現在の課題である若年層の就職難、派遣社員の問題、ブラック企業とかの現実はそのまま認めることはできず、早急に克服しなければならないことです。しかし、今私たちが一番目指さなければならないのは、成熟とそれによる豊かさではないでしょうか。
 経済的に豊かであることは大事な要素です。私は、江戸時代の庶民の知的レベルの高さ、優れた社会システムの有り様等について今までも話をしてきましたが、一方で、明治11年に来日したイギリスの女性旅行家の報告を読むと、当時の日本の田舎の貧しさと不衛生な環境について、「人々は親切で礼儀正しいのに、とても文明国とは思われないひどい生沽環境だ」と述べています。わずか130年前の現実でした。それを、刻苦勉励によってこのような豊かな社会に作り上げてきた祖先の人々の功は、いくら讃えても讃えきれないものがあります。
 一方で、豊かさが物質的なものだけで満たされないこと、そしてそれにつながる次のような言葉は、日本人はすぐに納得できるでしょう。いわく、「大学における豊かさとは、便利であることではなく、どんな発想でも許されることである」、「人間は自然の一部であることを認識し、日本列島の持つ自然の豊かさ、それによって育まれた日本人の能力の豊かさに思いをいたす必要がある」、「豊かさとは、ちょっと・わずか・ほのか・かすか・ささやか・こまやかという感覚が、身体的、直観的に分かることである」、「豊かさは最上位の価値ではない。その上に幸せがある」、「幸せは本来、漢字で"仕える・合う"と書き、めぐり合わせの意味だが、自分が仕える人やこととぴったり合うとも解せる」等々。これら今それぞれ最前線にある人の言葉は、一つ一つ身に沁みるものがあります。
 これから皆さんが自分をつくり上げていく中で大切なことは、自分の判断で物事をなすことです。人は結局自己流でしかことは行えません。自分の聞きたいことが耳に入るのです。しかし、それで例え失敗しても、それによって人間の弱みや痛み、自分を支えてくれる世界の存在に気がつきますから、結局絶対にマイナスにはなりません。そんな皆さんの存在、若者の姿は、存在自体が日本社会にとって希望の灯火なのです。
 おそらく今年の卒業式、多くの学校で出る話題は、小保方晴子さんのことでしょう。この間ある同窓生は、彼女は白陵生ではないかと思い、白陵の名簿を繰ったと言いました。いつそういう人が出てもおかしくないぐらい、白陸生はしっかりとやっています。彼女を紹介した新聞記事の中で、私が彼女らしさと若さを感じたのは、「小学生のころ、漢字の成り立ちを教えて下さいと言われてびっくりした」と語った書道教室の先生の言葉、「つらいことがあっても、今日一日、明日一日がんばろうと、毎日思っていた」、「入浴中も、デートして映画を見ているときも、どこかで研究のことを考えている」といった本人の言葉、そして、理系が苦手なのに、大学では応用化学、院ではまた違う再生医療の道を選んだ発想の柔らかさ、です。私は、本校の生徒にも、こんな人は男子女子を問わずいるのではないか、と思いました。
 さあ、卒業です。白陵ですべきことはほぼなし終えました。今後は新しい環境で、この白陵で培ったものを基に、友だち同士刺激しあい支え合い、自分を成長させていってください。その際の一つの考え方が、先を急ぐことばかりせず、じっくり考え、繰り返し試し、多様な経験を重ねて、熟するのを待つことです。これからの前途長い皆さんの仕合わせを祈って式辞といたします。
  平成26年2月11日
                    学校法人三木学園白陵高等学校 校長    斎藤興哉

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卒業式の一日

第49回高等学校卒業式の日です。

2014.02.11


開式前の吹奏楽部による演奏。


記念棟玄関で受付。



卒業証書授与。


49期の学年団。


優等賞。


努力賞。



皆勤賞。今年は48名でした。


校長式辞。


来賓を代表して、育友会会長からの祝辞。


現生徒会長の送辞。


答辞。


記念品目録贈答。



卒業式の歌。


吹奏楽部の『威風堂々』を背に、卒業生退場。


学年主任の晴れやかな様子。


HRに証書を置いて、一路、体育館へ。


体育館では思い思いに記念撮影が始まっていました。


丸テーブルを囲んで。


来賓の方々からお祝辞を賜り、聞きいる卒業生。


ここで、学年団から1年皆勤の発表と賞品の授与。


乾杯。



余興に移り、トップバッターは『ものまね』。


次は『ウーマンラ○○○…』の完コピ。


かぶりつき。




各クラスの担任と代表の漫才。


5組担任は替え歌を披露。美声。


司会の2人です。御苦労さまでした。





最後のHRの様子。


HR後は教室に残って記念撮影、サイン交換したり、クラブでセレモニーしたり。


その通り。

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卒業式予行

第49回高等学校卒業式の予行です。

2014.02.08


卒業生の1人が49期生全員に発破をかけています。「今から俺が言うことに、『ようし』で答えて。」


卒業式の歌の練習。


卒業証書授与の練習。


退場の練習。バックには威風堂々。


生徒会からの記念品授与式。


生徒会役員が感謝の言葉を述べる際には、声を詰まらせていました。さまざまなことが頭をよぎり、感極まったようです。


対面して、一礼。


解散。この後、高校入試の準備となる大掃除となります。

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