卒業式

学校長式辞

 三木学園白陵中学校第51期生は、本日ここに卒業式を迎えました。 ご出席いただいております多くの保護者の皆様と一緒に、その達成を祝うとともに、この3年間を振り返り、 今こうしている時の意味を考えたいと思います。

 本校は、中学・高校を兼ね備えていますが、正式の6年制中等教育学校ではありません。 しかし、6年間の中高一貫教育のレベルは一定の高さを保ち、生徒の成長の早さに思いを致すとき、 その途中に一つの区切りを置き、過去3年間、これからの3年間について落ちついて考えることはとても大切なことです。 そして、皆さんがこれまでそれぞれに喜びとともに苦しみ、戸惑いがあったことに思いを致しながら、 ただ今卒業証書を授与しました160名の卒業生の皆さんに、まず心から「ご卒業おめでとう」と申し上げます。 その時特筆に値する事は、この51期生は160名が入学し、1名も欠けることなく今日の日を迎えたということです。 過去には、保護者の転勤や本人の不適応などがあり、何名か減っているのが普通でしたが、この学年は全くありませんでした。

 この3年間、皆さんはひたすら、予習・復習を十分にし、基本的なことはすぐしっかりと覚えるように、と言われてきました。 ひょっとすると勉強は暗記がすべてか、と思ったことがあるかも知れません。 しかし皆さんの一番の経験は、学習したことが分かっていくのを実感すること、 そしてその心地よさを感じることだったはずであり、また、自分にふさわしい学習の方法をつかむことでした。 それについてまだ自信がない人もいるかも知れませんが、心配はないのです。 それは皆さんが徐々に白陵生になってきたと感じるのと同じ程度にものにしてきているのです。

 具体的に振り返ってみましょう。皆さんが白陵生らしさを感じさせるようになったのは、3年生の運動会でした。 学年演技として全員によるダンス、「ワールドオーダー」を大変な練習を積み重ねてあそこまで仕上げたのは見事でした。 皆さんの達成感も大きかったと思います。 それは3年になってからの中学部生徒委員会でのがんばりとも呼応するものでしたし、 最後の百人一首大会での運営ぶりにもくっきりとあとを刻んでいました。人は具体的なことをなす中で成長していきます。 皆さんは中学の3年間という枠の中で、一つの仕上がりをなし遂げたのです。

 しかし、白陵祭の後、一部生徒に生活面でやや緩みが見られたのも事実です。 加えて皆さんは今、もっと望み、しかし十分でなかったことを意識していることがあるのではないかと思っています。 それは学習面です。野外活動でも学習活動を取り入れるほど意識して、 学年の先生方は日々の学校生活の有り様とその成果を期待していました。 いまだ期待する所には至っていないかも知れませんが、私は、これについてはこれから大いに期待しております。 白陵生は、学年によって学習面の仕上がりは若干早い遅いがありますが、 6年後はどの学年もそこそこのレベルに到達しているのが最近の姿です。 皆さんがこの3年間で身につけた学習の姿勢を貫くことで、むしろ今後に楽しみを残しているのです。

 ここで少し話がそれます。京大・山中教授の研究のiPS細胞とは、要するに細胞を初期化する、 すなわち人為的に受精卵に近い状態に戻すことだと聞いて、私はなるほどと思いました。 受精卵は細胞分裂を繰り返し、それぞれ何かの役割を持つ細胞に分化してしまうと最初の受精卵の状態には戻りませんが、 山中教授はそれを戻すのに成功したのです。私は、皆さんの中には、 こと「志」に関しては「初期化」した方がいい生徒もいるのではないかと思います。 もちろん身につけた学習成果や学習姿勢は堅持しなければなりませんが、 少し本校に入学した当初の思いを忘れかかっている人は、是非この春休みに初期化してください。

 そしてまた、皆さんは今、6年間で一番元気のいい時期を生きているのです。することがいっぱいある!  今の自分のやり方に迷いがない! 元気に日々を送ることが出来る!     こういう人は当分その勢いで進んでください。現状に少し違和感がある人は、次のように考えてはどうでしょうか。 自分がどう表現すればいいか分からないとき、日本人は「沈黙」を採用しました。 何を描き、何を置いたらいいか分からないとき、例えば画家は「余白」をもって表現しました。 能楽では一つの所作から次の所作へ移るとき、「間」というものを大事にするそうです。

 皆さんは、自分のことをいろいろと意識する中で、常に一つのやり方を貫くのが自分を堅持することだと思わなくてもいいのです。 間を置いて、何もしない余裕というか、周りを見渡す時間をもち、自分を静かに見つめることをするのも一つの方法です。

 そして、「若者の教育」に関していつも思うことは、教科面の学力とともに心の教育を忘れてはならないということです。 ある日本大好きの外国の評論家が「日本人は思いやり深く、他のことをよく考えるのに、 あの東日本大震災のことはもう忘れて、援助しようという気持ちを早くも捨ててしまっているのではいか」と言いました。 そんなことはないと思いながら、一瞬ギクリとしました。私どもも皆さんとともに意識しなければならないことです。

 この学年の卒業生は、大多数がそのまま白陵高校に進みますが、他の進路を選んだ生徒もいます。 それぞれ皆多少なりとも迷ったり、思い切ったり、覚悟を固めたりした上での進路選択であります。 今後とも、生徒、学校、ご家庭が一体になって教育を進めたいと思います。

 卒業生の皆さん、これまでの3年間の生活を振り返り、同時に3年後の自分の姿を思い描いてください。 そして、今日の卒業式が本当によき「新しい出発」の契機となることをお祈りし、式辞といたします。

 平成25年3月19日
                    学校法人三木学園白陵中学校 校長    斎藤興哉

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卒業式

第48回中学校卒業式です。

2013.03.19


春、うららかな日、記念棟で卒業式が挙行されます。


160名分の卒業証書が代表に授与されます。


続いて、優等賞、努力賞、皆勤賞が授賞されます。


起立して礼に備える卒業生。



威風堂々と退場します。



最後のホームルームの様子です。

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