卒業式

学校長式辞

 三木学園白陵中学校第53期生は、本日ここに卒業式を迎えました。ご出席いただいております野添育友会長様、多くの保護者の方々、 そして教職員ともども、生徒の皆さんの3年間の達成を祝い、併せて今ここに至っている意味に思いを馳せたいと思います。

 今日の卒業式は、ほとんどの人にとってそのまま白陵高校の入学式につながります。 そのため卒業を特に「おめでたい」と思わない人もいるでしょう。しかし、ここで立ち止まり、あたりを見回すことは大事です。 それは、生徒全員が何の悩みや傷もなしにここまで来たのではなく、また、今の年齢が大変微妙な年齢であるからです。 そしてそれゆえに、ご両親・ご家族を始め、多くの方のお世話になってここまで成長し、皆さんは今「一つの存在感」を示そうとしているからです。 私は、そういうさまざまな意味に思いを致し、185名の皆さんに「卒業おめでとう」の言葉を贈ります。

 皆さんは中学が5クラスになった初めての学年で、中学1年から180名を越える多人数でスタートしました。 私たちは正直な所、1クラス増えるだけで、こんなにもいろいろな面で違うことになるとは、考えてもいませんでした。 確かに、中学段階というのはさまざまなことがあります.それが1年、2年と過ぎるなかで、「成長」とはこういうことなのかと、 お互いに実感していくようになるわけです。

 3年間を振り返ると、飛鳥や京都での校外学習、平和の歌を合唱した修学旅行、それらをまとめた文化祭の学年展示、 さらに運動会や柔道大会等は、学年またクラスとして一つのことをやったと実感できた行事でした。各教科の学習は、 個人により得手不得手や準備のばらつきがあり、その日の気分によって左右されることもあって、その時々の結果によって、 目の前に、日々の生活がさらけ出されるような思いも経験したかと思います。

 私の印象に残っているのは、中学2年と3年で実施したレシテーション大会(英語の暗唱大会)です。 本校では新しい試みでしたが、私などが経験した英語とは全く違う姿があり、改めて、わずか2年でここまで来るのかと感銘を受けました。

 もう一つ、皆さんについて言われてきたのは、とにかく元気のいい学年ということでした。運動能力の高さもあって、 男子女子を問わず、エネルギーの高まりがいろいろな面で発揮されました。皆さんの最大の「良さ」だったでしょう。

 そう考えた時、卒業にあたって皆さんに対して言うことは、次のようになります。 「今の元気さにプラスして、言葉がきちんと分かるようになってほしい」と。

 まず皆さんは、白陵に入って素直さと粘り強さを要求されて、思春期、1年ごとに自分の考えや要求が強くなっていき、 時に言い過ぎて反省し、あるいは自分に正直になれずに後悔し、行ったり来たり、 まっすぐには進めない自分に気づく時もかなり多かったのではないかと思います。

 それは当然のことで、中学2年から高校1年のころは、そういう人間としての成長過程なのです。 その時大事なことは、気持ちが高ぶっている時こそ相手の言うことを正確に聞くことであり、 また、自分の思いを相手に分かるように簡潔に述べることです。言葉を軽視する人は、 往々にして「言葉より行動だ、現実の方が大事だ」と考えます。しかし、私たちの有り様に即して言うと、 私たちは、自分なりの言い方を見つけた時に、初めてそういう感情・存在を持ったということになるのです。 ですから、表現にならない感覚とか感情、状態はまだ存在していないものです。 もちろん、画家はそれを自分の絵で、音楽家はメロディや楽器の音色に託しますから、言葉がすべてではありません。

 また、どうにも言いようがない時、例えば東日本の大震災でかけがえのない家族を失った人などは、ひたすら黙し、耐えています。 一方で皆さんは、回りへの同調を大事にし過ぎて、例えば「かわいい」とか「むかつく」とかを濫用していませんか。 あるいは、人は言いたいことが常に言えるわけではなく、同じ人が言いすぎる場合もあり、 日本語は助詞や助動詞がたくさん有って腕曲表現が多彩で、また言外に込められた意味が深い場合もあり、 確かに、人が言葉を操り、人の言葉の真意をくみ取るのは容易なことではありません。 しかし、皆さんは、そういう難しさや微妙さに気がついていく年頃になったのです。 大人になるというのは、そういうことが分かるようになるということです。

そして、これは言葉だけでありません。次の文章は小学生が書いた作文の一節です。
  うちのお母さんはやさしい。一遍もおこらはったことがない。
  うちのお母さんはおこるかわりに、なみだを流さはる。
  なみだを流さはるお母さんが一番こわい。
この子は、この時お母さんのすべてが分かっています。ここには、意思疎通の極があります。そして皆さんは中3ですから、 よその人の「見えない涙」をも見ることかできなければなりません。

 本校は多彩な学習を通じて、皆さんの学力を伸ばすとともに、それによって人間としての教育もしようと考えています。 皆さんは、これだけ点数を取ったからもういいなどと考えることはないでしょうが、世の中では一見小さく見える物事・出来事でも、 その深さ、複雑さが見る人を沈黙させる場合が多くあります。これから、皆さんの前に出てくるのは新しいこと・難しい課題ばかりです。 しかし、できない結果を恐れず、謙虚に、素直に、真っ正面から課題に取り組んでいってください。

 皆さんにとって、中学を卒業することの意味は、次にどの進路を選ぶかということではなく、それ以上に、 自分の今の生活を客観的に見直すことに最大の意味があるのです。各自の生活を見直すとは、大きく3年後の自分の姿を思い描き、 同時に今日帰宅してからすべきことを確認する、いわば相反する二つの面を意識していくことです。 今日の卒業式がそういう意味で、真に「新しい出発の日」となることをお祈りし、式辞といたします。

 平成27年3月20日
                    学校法人三木学園白陵中学校 校長    斎藤興哉

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卒業式

第50回中学校卒業式です。

2015.03.20


53期生の中学卒業式が始まります。


卒業証書授与。


優等賞授与。


努力賞授与。


皆勤賞授与。


学校長式辞。


拍手の中を卒業生が退場します。



HRの様子。

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