卒業式

卒業式全景

2016.02.11

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学校長式辞

2016.02.11

卒業式式辞

 季節の流れの中で、その寒暖はさまざまな様相を呈しても、揺るぎない春夏秋冬の次第に即し、春の兆しは確実に現れ出てきました。

 この早春の良き日に、野添育友会長様を始めとするご来賓の方々、そして誰よりも今日の日を待ち望んでおられた保護者の皆様のご出席のもと、三木学園白陵高等学校第51回卒業証書授与式が挙行できますこと、心よりありがたく思っております。

 ただ今卒業証書を授与しました175名の卒業生の皆さん、卒業おめでとう。心からお祝いを申し上げます。高校に入学して3年間、多くの人は6年間の白陵生活を送ってきたわけですが、振り返れば、入学式がつい昨日のように思われても、その間ともすると不安定になる時もありました。それは年齢的にそういう傾向が強くなる時期ですし、また、高きを目指す生活が常に順調に行くとは限りませんから、皆それぞれに、時に幸運を喜び、時に報いられないことを嘆いて、今日の日を迎えたわけです。そこには皆さんしか分からないことがあり、それが皆さんの人生の重さとつながっているのです。

 そして、今日ご列席いただいております保護者の皆様の喜びは、また格別なものがあるかと思います。中学から高校へと進むにしたがって、結局本人に任せるしかない、手を出そうとしても何も出来ないということで、見守るしかない辛さをいやというほどお感じになったのではないでしょうか。加えて、学校からの要求も多く、日々並々ならぬご苦労をなさっていただきました。それだけに今日の喜びは一入のものがあるかと拝察いたします。改めまして、ご子弟が本日の卒業を迎えられましたことに、心からお喜びを申し上げます。本当におめでとうございます。

 さて、卒業生の皆さん、皆さんは「51期生」という、白陵100年に向けての新しい出発を象徴する学年でした。その学年は、勉強は当然がんばるとともに、人間の徳を意識しようとした「徳の学年」でもありました。思いやりの仁、約束を守る信、正しい生き方を目指す義などをいつも考えていたわけではないでしょうが、そういうことが生活のどこかで顔をのぞかせることもあったでしょう。知識であれ技能であれ、覚えた・できたという段階から、その本当の意味が分かったり、意識して使いこなせる段階まではかなりの距離があります。それは、全人的、総合的な成長があってこそ可能になるものです。個人的なことで恐縮ですが、私は今でも「ああ、そういうことか」と気づくことがしょっちゅうあります。理解が遅いのが実態ですが、私はこういう気づきは大切だと考えています。そういう理解、納得が結局その人を作っていくからです。何よりも新しい気づきは、その人に刺激を与えます。それによって、人は自分の成長や世の中の多彩さ・多様さが分かったり、見方によって新しいものが見えるようになっていくのです。

 当初、学年の先生方は、「素直な学年だが、突出したものがあまりない」と言っていました。しかし、高校1年生を含む8名で団体を組んで初めて出場した「科学の甲子園」、そこでの準優勝は快挙でした。そして一番話題になったのは、毎日放送のちちんぷいぷいの取材班が本校を訪れて、高3のクラスと生徒を相手に楽しいやり取りをし、かつてとはかなり様変わりした白陵の実態を放映してくれたことです。その他にも、神戸大学主催の模擬国連安保理大会に出場したり、日本化学ブランプリや生物学オリンピックで賞を受けるなど、白陵の多彩さと活発さをたびたび発信してくれました。

 その中で、私が一番この学年らしいと思ったのは、第四校舎での夜9時までの居残り学習です。4月早々に始まったこの試みは最後まで続き、いわば51期生のねばり強さとまとまりを証明するものになったのです。

 とにかく皆さんは、この白陵で学んだものを自らの「装備」として新しい世界に出てゆきます。今の世界と社会は、混迷の時代と言われますが、考えるまでもなく、未来の有り様を窺う人間に、先のことはいつもはっきりと見えず、世界がどうなるかなど分かるはずがないのです。たとえ自分のことであっても、確実なことは言えません。そして、そこで大事なことは、所詮はっきりとは見えないのだから見なくてもいい、とは考えないことです。自分のことはいやでも考えざるを得ませんし、広く社会全体や過去の流れを押さえた上で、これからのことを考えるのは絶対やめてはいけないことです。

 それについて、一つ付け加えておきますと、日本人は、将来の見通し、現状の評価や自分の満足度等について、いつも辛口の評価をします。世界の若者はもっと楽観的、肯定的なのに、日本人は否定的な見方をすることが一般的です。ところが、その日本人に肯定的な評価をしてくれるいくつかの事象がありますので、紹介したいと思います。

 ハーバード大学の経営大学院で、リーダーシップを養成するための授業で取り上げられた日本の事例の中で、世界的に有名になったものがあります。東京に到着した新幹線が次に発車するまでの実質七分間で、完璧に車内の清掃・整備を行う鉄道整備会社のことです。1チーム22名で、一人が1車両とトイレの清掃を受け持ち、完璧に掃除を終えると1列に並んで礼をして乗客を送りだす所作が、世界に衝撃を与えました。最初はいやな仕事と思っていた作業員を、誇りとやり甲斐をもって仕事するプロ集団に変えた上司の指導力が、特別の高い評価を受けたのです。「彼らはお金のためではなく、人のために役に立っているのが楽しいと感じており、お金より人を大事にするマインドがすべての決め手だ」というのがその総括です。

 今も日本は、20年間の経済停滞から完全に立ち直っていません。しかし一方では、次々と新しい芽も育っています。本校の43期生花房君は現役の東大生の身で、無料の学習動画サイトを立ち上げました。すごいと思ったのは、仲間が学生なので毎年入れ替わる中で、NPO組織にしてその事業を継続していることです。

 また、ある雑誌に紹介されていた例では、設立からわずか2年で電動バイクの国内シェアのトップにたった企業があります。この創業者は初めから日本を超えたアジアの市場をターゲットにし、ポスト本田宗一郎と言われました。彼はITベンチャー等の立ち上げもやっていますが、「ゲームソフトなどつくっていくら儲かっても、やり甲斐を感じない」と言って、社会性の高い事業を展開することで、元ソニーの会長とかベネッセの前会長等多くの経営者たちから支援を得ているのです。言うなれば、これは志の問題でもあり、年齢や分野を問わず、人がことを成そうとするときにはいつもポイントになることであります。

 最後に、福島智さんという人のことです。1962年に兵庫県で生まれ、3歳で右目、9歳で左目を失明し、14歳で右耳、18歳を前に左耳も聞こえなくなる中で、当時の東京都立大学に合格、現在、東京大学の常勤の教授をしている人です。

 全盲・全聾の福島さんは自分がこの世界から消えていくような絶対的な孤独感、自分のすぐ側に虚無の深遠が広がるのを感じていました。それを救ったのは、点字タイプライターの代わりにお母さんが彼の指に指点字をしてくれて、それで人とコミュニケーションをとることができたことです。「彼は特別な人だ」と言ってやり過ごすこともできるかも知れませんが、私は、福島さんの言葉の一つ一つが大変重く、人間存在を考える根本的な言葉になっているように思いました。絶対的な孤独感の中で、彼は、今まで沢山の人からの支援を受けてきて、一人で生きてきたのではないと思う中で、「なぜこんな苦悩があるのか分からないが、宇宙か神か仏か、人間でない大いなるものが、この命と同じように、私に苦悩を与えたのではないか」と考えたのです。そして、福島さんは、「命に意味があるならば、それに付随するこの苦悩にも何か意味があるはずだ」と考えるようになりました。

 東大入学式での、福島さんの祝辞もいい言葉です。「こんな体の私は、皆さんを直接把握することができませんが、人は皆、他者の本質を把握はできません。できるのは、お互いの魂にそっと触れあうことだけです」と。

 皆さんは今、大学受験という重大な地点にいますが、まだ人生は始まったばかりで、このあと長い喜怒哀楽の日々が続きます。人生とはそれらの意味を少しずつ分かっていくことかも知れません。先が見えない不安を、人は「結果の分かったゲームは面白くない」と言って、自らを奮い立たせてきました。皆さんもそうあってほしいと思います。

 皆さんは今日白陵を卒業していきます。それは、白陵でなすべきことはほぼ成し終えたということです。いろいろな分野の勉強をし、多くのことを知り、好きなことをいくつか見つけました。次の段階は、より高い次元でそれらに取り組み、それらと共に生き、楽しむことです。あることに取り組むことが同時に楽しみである、それ以上に、素晴らしい関係、生き方というのはありません。それを、春秋時代の孔子は『論語』の中で次のように言いました。「之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず」と。それはきっと、周りの人や社会にも喜んで貰えることになるでしょう。

 大学に行って社会に出たら、各界に白陵の先輩たちが大勢活躍しています。しかし、人生はまず自分で歩いて「道」を作っていかなければなりません。その人生は、誰のものでもない、皆さん一人一人の人生ですから。

 お別れの時です。最後に改めて、これからの前途長い皆さんの幸せを心より祈って、式辞といたします。

平成28年2月11日

             学校法人三木学園白陵高等学校 校長  斎藤 興哉

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答辞

2015.02.11

卒業生代表答辞

 厳しい寒さの中にも暖かい日差しが差し込み、春が近づいてきていることを感じるようになりました。本日は私たちのためにこのように厳かで心のこもった卒業式を挙行していただきましたことを、卒業生を代表して心よりお礼申し上げます。

 先程、斎藤興哉校長先生や来賓の方々、在校生から暖かく力強い激励のお言葉をいただき、感謝と共に身の引き締まる思いです。振り返ってみると、この白陵での三年間はあっという間に過ぎてしまった気がします。

 しかし、この三年間はいくつもの素晴らしい思い出であふれています。最初に頭に思い浮かぶのは日々のクラスの風景です。授業では、私たちの学年を担当してくださった先生方がとても個性的で時には私たちが話についていけなくなることもありました。しかし、そういったことも含めて面白い授業だったなあと感じています。また、クラスメイトの大切さも実感しました。授業でわからなことがあれば教えあい、テストがあれば点数を競って一喜一憂する。そして、いったん勉強から離れるとくだらないことで一緒にふざけあう。そんな友人がいたからこそ毎日充実した生活を送ることができたのだと思います。文化祭や運動会では学年の枠を超え、先輩方や後輩たちと一致団結して準備や練習に取り組みました。苦しいこともありましたが、みんなで協力することでそれを乗り越え、白陵祭をめいっぱい楽しむことができました。そういった数多くの思い出の中でも特に印象的なのは、イギリスへの修学旅行です。文化・歴史・言語など何もかもが日本と異なる土地で戸惑うことも少なくありませんでした。しかし、修学旅行を通して様々な人に出会い、様々な場所を訪れて、まだまだ自分の知らない世界が広がっているんだということを痛切に感じさせられました。

 これら白陵で得た経験が今の私たちを支えてくれています。これから私たちはそれぞれが自分の進むべき道を探し出し、前に向かって進んでいきます。その途中には想像を超えるような困難が待ち構えているかもしれません。そんな時こそ、この白陵での経験を存分に活かして一歩ずつ進んでいきたいと思います。最後になりましたが、時には厳しい言葉で私たちを指導し、ある時は温かい言葉で私たちを励まし、またある時は面白おかしく話をして私たちを笑わせてくださった先生方、私たちの学校生活を支えてくださった学校職員の皆さま、そしていつも私たちを側で見守ってくれていた家族には本当に心から感謝しています。

 白陵高等学校の今後の益々のご発展をお祈り申し上げ、答辞とさせていただきます。

平成28年2月11日

                   第51期卒業生代表 澁谷勇希

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送辞

2015.02.11

在校生代表送辞

 厳しい寒さの中にも、春の訪れを感じる今日この頃、白陵の自然にも春の息吹が感じられるようになってきました。本日は、卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。先輩方に出会ったのがついこの間のように感じられ、卒業されてしまうと思うと、まだ実感が湧きません。

 さて、白陵での学校生活はいかがでしたでしょうか?思えば、先輩方の学年は勉学だけでなく、部活動でも活躍しておられる姿が印象的でした。部活に入ったばかりで右も左も分からなかった私たちを一からご指導していたこと。そして、リーダーシップを発揮している姿は私たちの見本でした。また、青春は爆発だ!をモットーに、行事の挨拶の度に、力強いスピーチで場の雰囲気を盛り上げ、人を惹きつける姿が今でも心に強く刻み込まれています。私たちはそんな魅力あふれる先輩方の姿にいつの間にか尊敬の念を抱いていました。

 少し振り返ってみるだけでも、つらかったことや悔しかったこと、それ以上に楽しかった思い出が脳裏をよぎっていることと思います。私たちは先輩方と一緒に過ごした行事や部活動、たわいもない話で盛り上がった時間など、そんな思い出でいっぱいです。そして、私たちの相談にも親身になって答えていただき、時には、やんちゃなことをする私たちを温かい笑顔で受け止めてくれました。先輩方は、私たちにとって、本当に頼れる存在でした。出会いは別れの始まりとも言いますが、出会ってから今日までのことを思い返すにつけ、そんな先輩方が卒業されると思うと、やはりつらいものです。ですが、これから先輩方が進まれる道に素晴らしい出会いがあり、そして、さらなるご活躍をされることを在校生一同楽しみにしています。それと同時に、私たち在校生も先輩方が残されてきた白陵の伝統を受け継ぎ、先輩方に一歩でも近づけるよう日々精進して参ります。ですので、私たちの成長した姿を見に来てくださる日を心待ちにしています。

 最後となりましたが、先輩方の今後のご活躍とご健康を心からお祈りいたしまして送辞とさせていただきます。

平成28年2月11日

                   在校生代表 長島英祐

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卒業式の一日

第51回高等学校卒業式の日です。

2015.02.11
























































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卒業式予行

第51回高等学校卒業式の予行です。

2016.02.10


予行に先立ち、大教室で卒業式の流れを復習、また、受験に向けての激励がありました。


卒業証書の受け取り、礼の仕方を練習。



全員が一通りの動作をやってみました。



歌を歌います。


午後からは全学年揃って、予行をしました。


卒業式予行後、恒例の在校生から卒業生への記念品授与の式がありました。現生徒会代表があいさつ。


元生徒会長が独特の雰囲気で、最後のご挨拶。

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