卒業式2024.02.11
卒業式全景
学校長式辞
卒業式式辞
寒い日もありますが、立春が過ぎ、太陽の光が日一日と増しているのを感じる今日この頃です。 この良き日に、白陵高等学校を卒業される186名の皆さん、誠におめでとうございます。ご来賓の兵庫県議会議員山本敏信様をはじめ、 ご列席の育友会・同窓会・後援会の方々、ご家族・教職員、そして皆さんの後輩たちとともに、ご卒業をお祝いしたいと思います。 併せて、関係者の皆様よりいただいた数々の厚いご支援に対して、心より御礼申し上げます。
皆さんが白陵高等学校に入学したのは3年前、令和3年の4月でした。入学式のあった4月9日は、桜が咲き誇る良く晴れた日となりました。 前の年から続いていた「コロナ禍」もそろそろ終わってくれるだろう、楽しい高校生活が始まるぞ、という皆さんの期待がマスク越しにも窺えました。 入学式からしばらく経って、学年全体で裏山に登りました。他学年からは「うらやましい!」の声も。 しかし、緊急事態宣言が出て、それがまた延長されるなか、5月16日には近畿地方が観測史上最も早い梅雨入りとなりました。 1学期の中間考査では、大雨警報が出て日程延期にもなりました。6月には曇り空のもとでしたが、球技大会を開くことができました。 しかし、10時ごろから雨が降り出し、ソフトボールはなぜか午後にはボールが少し縮み、卓球に変わっていました。 8月の末にはまた新たな緊急事態宣言。甲子園野球大会では先輩が司会をした開会式を除けば、ほぼ雨の日々でした。 皆さんが中2の頃、新海誠監督の『天気の子』というアニメーション映画がありましたが、降り続く雨のシーンを思い出した人もいたでしょう。 運動会が中止と決まったとき、緊急事態宣言は9月末まで延長されました。 皆さんの先輩でもある千葉県知事の熊谷氏、暴風波浪警報で急遽来校できなくなりましたが、Web上で熱のこもった講演をしてくれました。 これも先輩である国立歴史民俗館長の西谷大氏による「豚便所」の話、忘れられませんね。 柔道大会が中止になると決まったとき、何かできることがないかと、学年でクラス対抗競技などを行ったのが「鴻門之会」というイベントでした。 それぞれが項羽あるいは劉邦となって相まみえたのでしょうか。その出会いの場は見事に晴れました。 「さあ、晴れるわよ!」という皆さんの願いが通じたのかもしれません。
高2になりました。前の年、運動場に突如できたフェンスによって、確かに学園道路にサッカーボールは飛んでこなくなりましたが、 コロナウイルスの飛来を阻止することはできませんでした。 4月19日、中学生たちは教室で、校舎前庭に集まった高校生たちの集会の放送に、耳を傾けていました。それは生徒会の交代式でした。 新生徒会長の声に、コロナ禍を超えて何かが新たに始まっていく、そんな予兆を感じたのでのではないでしょうか。 それは丁度、その年の大阪フィルによるドヴォルザーク『新世界より』の第1楽章の、力強く新しい世界に進んでいくような曲調を先取りするものとなりました。 小雨のため2日後に延期された球技大会、皆さんは見事に晴れを引き寄せ、ボールのサイズも決して縮むことなく大変な盛り上がりとなりました。 「これが白陵高校生だ!」という皆さんの叫びを聞いた気がしました。
「実存は本質に先立つ」と言ったのはサルトルでした。実存とは、自分が現に存在していること。 本質とは自分が何者か、目的は何かということです。人間はまずは自らの存在に出会い、そののちに自らを定義づけていくというわけです。 自分ではどうしようもないコロナ禍や天候不順ではありましたが、それぞれの人が自分の奥底の実在と出会う機会になったのではないでしょうか。 その時々、ただ運命に流されるのではなく、それを乗り越えるために自分のこれまでの本質ですら新たなものとして変えていくことができる。 これこそ、生徒会長がその年度末の柔道大会の成功に際して、その要因に挙げた「独立不羈」という在り方と軌を一にするものでした。 遡って、運動会の行進練習の初日、体育委員長による「こんなひどい行進は見たことがない」との講評から、本番での見事な行進に繋がっていった、 あの物語の本質にも通じるものです。サルトルに言われなくても、白陵生には当たり前のこと?(猿鳥犬猪)、おっと、 忘れられないのは私も同行させてもらった修学旅行、はちきれんばかりのエネルギーの躍動は今も皆さんの心の中に残っているはずです。 あの時の思い出は「おもいで!」と再び言っておきましょう。
高3になった4月15日、BSテレ東の『The名門校』が放映されました。先月、白陵中学入試がありましたが、受験生の書く「志願理由書」には、 「あのテレビを見て白陵に行きたいと思ったから」と書いていた受験生もいました。私自身もあれを観て大変感動したので、 撮影から編集までされていた女性に、「素晴らしいものをつくっていただきありがとうございました」というと、 彼女は「いやいや、あの映像以上に生徒さんたちはすごいですよ、私の方こそ彼らの頑張りから、私も頑張らないと、と教えられました。 これからも頑張ります。」と言っておられました。そういった59期生の頑張りは、後輩たちにも受け継がれています。 それが今年度の白陵祭の、「新生」というテーマに繋がり、大変な盛り上がりを見せたのでした。文化祭では5千人を超える来場者があったのではないでしょうか。
さて、このように過去を振り返る時間も惜しんで受験勉強に勤しむ皆さんですが、共通テストを終えて、いよいよ本番の2次試験となっていきます。 しかし、高校生活の最後にこのような試練があることをどうか嘆かないでください。試練は必ず自分との新たな出会いを生みます。 自分の意識の奥底に隠れていたものとの対話です。それは日々経験する表面的な意識とは全く別物であると同時に、表面的な意識を実は支えていたり、 その先にあるものであったりします。皆さんにとって新たな旅が始まっているのです。それは、これまでの旅を卒業するということであり、 大変喜ばしいことだと思います。アニメ『天気の子』には、どうにもならない運命に対して自分の道をなんとか切り開いていこうというテーマがありましたが、 そのエンディングの歌の最後に、「僕にできることはまだあるよ」というフレーズがありました。苦しい中であるからこそ、 より深い意味での希望が実は奥底には眠っています。皆さんにできることは一杯あります。明るい未来に向かって、それらに挑戦してください。
本日は白陵高校卒業、おめでとう。
令和6年2月11日
学校法人三木学園 白陵高等学校 校長 宮﨑 陽太郎
送辞
在校生代表送辞
立春とは名ばかりの余寒厳しき折ではございますが、ようやく長い冬が終わりを迎えようとするこのような良き日に、 白陵高校を旅立たれる卒業生の皆様、ご卒業おめでとうございます。在校生一同、心よりお祝い申し上げます。
私達は先輩方のおかげで充実した学校生活を送ることができました。 特に私達60期生はかけがえのない思い出と成長の端緒を頂いたことと思います。 私はバスケットボール部、生徒会活動を通して本当にお世話になりました。 いつも全力で部活に取り組み、早く追いつきたいと思わせてくださった先輩方。 部室では面白いことばかり言い、楽しませてくださった先輩方。会うといつも挨拶してくださり、笑顔で話しかけてくださった先輩方。 なかには、生徒会長選挙の応援演説を快く引き受けてくださったり、最高の運動会だったと声をかけてくださったり、 高校最後の文化祭において、私とそれまでご縁がなかったにも関わらず、笑顔で手伝ってくださったりする先輩方もいらっしゃいました。 どの姿も今でも鮮明に覚えており、私は返し切ることの出来ない恩を頂きました。 私一人だけでもこれだけお世話になりました。きっと在校生一人一人の学校生活が私と同じように、輝かしいものとなったことでしょう。
そのような偉大な先輩方が今日卒業され、新しい地で活躍されることは非常にめでたく、お祝い申し上げている一方、寂しく、 別れを惜しむ思いもまた、心を満たしています。先輩方はこれから新しい世界で更なる飛躍を遂げ、 私達にしてくださったように多くの人の力となり、社会を牽引する存在となってゆくことでしょう。
私達もこれから、そのような雄飛を応援すると共に、先輩方が引っ張ってくださった白陵を更に進歩させるべく死力を尽くすことを約束致します。
最後になりますが、先輩方のご健康と益々のご発展をお祈り申し上げ、送辞とさせて頂きます。
令和6年2月11日
在校生代表 岡本 勲都
答辞
卒業生代表答辞
厳しい寒さが身に染みますが、春の訪れも感じられる季節となりました。
本日、私達59期生のために、このような盛大な式典を挙行していただき、卒業生を代表して心から感謝申し上げます。
卒業に際し、この白陵で過ごしてきた日々を思い返すと、まず浮かぶのは友人達との何気ない日常です。 登下校や休み時間にはふざけ合ったり、笑い合ったり、とにかく楽しく時が過ぎていきました。 そんな心許せる友人達は、勉強やスポーツでは支え合う仲間であると同時に、切磋琢磨し合うライバルでもありました。 逃げ出したくなるほど辛いことも何度かありましたが、そんな時、相談に乗ってくれたり、励ましたりしてくれました。 仲間がいたからこそ、充実した学校生活を送ることができたのだと思います。
学校行事を振り返ると、運動会では、学年の垣根を越えて協力し合いました。 競技だけでなく、紅白両組の独特の声出しや応援は今思い出しただけでも心躍るものがあります。 また、四年ぶりに一般の方々の参加が可能となった文化祭は「過去最大規模」とも言われ、白陵文化部と生徒会の本気を感じる素晴らしいものでした。 長蛇の列のできた屋台を楽しんだり、数研にお邪魔して、三、四時間も友人と問題を解いたりと、気の合う仲間と過ごす時間は本当に楽しいものでした。 沖縄への修学旅行では、沖縄ならではの雄大な自然や独特の文化を楽しみました。 また、普段とは違い、朝から晩まで共に過ごす中、友人の新たな一面を知ることができました。
授業では、規定に沿った学習内容だけでなく、その先を見据えた内容、考え方を学んだように思います。 それらは私達の物事の捉え方を考えさせるもので、学問は面白いものだと心底感じました。
学校生活では、部活の大会や、定期テスト・模試、人前での発表など、挑戦すればするほど心に負担がかかることが多く、 それを乗り越えるためにはそれ相応の準備と努力が必要でした。結果はどうあれ、それを乗り越えた時こそ自分の成長につながったように思います。 そして、その様々な挑戦の中で、私達は多くの人達の支えの中で生きているということをひしひしと感じました。 そのことは特に、受験勉強の中で感じたかもしれません。思うような成績が採れなかったり、進路に悩んだりする中、頑張っている友人、 相談に乗ってくれる先生、励ましてくれる両親がいなければ、心が折れていたように思います。
思い出に満ちた白陵での生活も今日で終わりを迎え、私達はそれぞれの描く道へと進んでいきます。 離れ離れになることに寂しさを覚えますが、この白陵で学んだこと、そして私達は多くの人達に支えられているということ、 そのことへの感謝を忘れずに歩んでいこうと思います。
最後に、僕には、卒業式で、やりたいことがあるうううう
(全員)なーにーーー?
僕は、みんなと一緒に、証明がしたあああああい
(全員)なんのーーー?
ここで、全員が、学校生活を楽しんだということを、証明していきたいと思いまーーす
n=1の時―― (黒田) たのしかったーー
n=2の時―― (織田) たのしかったーー
n=59期の時―― (全員) たのしかったーー
以上、すべての生徒に対し、学校生活を楽しんだということが言えるので、題意は示されましたーー最後になりましたが、私達の背中を押し、時に厳しい言葉で指導してくださった先生方、 私達が快適な学校生活をおくれるように支えてくださった職員の皆様、本当にありがとうございました。
そして何より、今日までどんな時も私たちをそばで見守り続けてくれた家族に、心から感謝を伝えたいと思います。
白陵高等学校の今後ますますのご発展を祈念して、答辞とさせていただきます。
令和6年2月11日
第59期卒業生代表 安積 知史
卒業式の一日